超高齢化社会が始まる2025年に向けて、早急な地域包括ケアシステムの構築が求められています。そこで、私たち作業療法協会でも、地域共生社会への積極的な参画と技術の豊かな人材を提供できるよう日々取り組んでいます。

 

 元より私たち作業療法士の目標は、対象となる県民の主体的な活動と参加を援助することです。これまでも、急性期医療から回復期、そして介護への継続的な地域生活定着支援、予防的視点による地域生活支援、職業や教育の機会、ライフステージに応じた社会生活への適応など、対象者1人ひとりのくらしの背景に対応してきた実績があります。今後、さらに領域を問わず「その人が望む生活行為」の具体的な支援を行うため、作業療法士同士が助け合い、医療と介護のシームレスな連携の強化に努めていきたく思います。

 

 しかし現状は、多くの課題を抱えております。私たちは、対象者にとって一人の作業療法士であり、経験を問わず多職種との連携が求められています。ところが昨今のコロナ禍においては、連携に弊害が生じていることをよく耳にします。それでは、我々が目指す対象者の「その人が望む生活行為」とは程遠いものになってしまいます。

 

 そこで、本学会のテーマを【未来をつくろう 〜今こそ『かいほう』の意味を考える〜】としました。『かいほう』には、コロナ禍による不便な生活様式や閉塞感からの解放、外に出ることへの開放、対象者を介抱し快方に向かうなど、様々な意味合いがあります。また作業療法士の専門性も医療だけでなく、予防・介護・保育・教育・司法等、幅広い分野の作業療法士同士が新たに出会い、互いに理解しあうことで、学術や技術を研鑽し、地域包括ケアシステムの参画に求められる人材、『未来をつくる人材』へと繋がる機会にしたいと考えテーマを定めました。企画面では、すべての作業療法士に作業療法の教育課程であるPDCAサイクルに触れ、自分自身でリフレクションを行う場として活用していただけるような内容(講演や教育セミナー等)を考えております。また、市民の皆様も参加して頂ける市民公開講座も企画しておりますので、多くの皆様の参加を心よりお待ちしております。

 

 最後に、コロナに対する行動制限は緩和傾向にありますが、未だ収束の見通しは立たない状況です。そのため、今回もWEB開催となりますが、みなさまのお力をいただきたく、ご支援ご協力をどうぞよろしくお願い致します。

 

第26回 福岡県作業療法学会
学会長 栗原将太(飯塚病院)