こちらの講演は学会終了後にオンデマンド配信が予定されています。
Web配信期間(閲覧できる期間):学会終了後~令和7年3月末まで
※参加登録された方はこの期間内のご都合がよい時間にいつでも視聴が可能です。

 

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タイトル

「作業療法の曖昧さをリーズニングする」


講師

藤本 一博 Fujimoto Kazuhiro

医療法人社団康心会 茅ヶ崎中央病院 リハビリテーション科 係長


プロフィール

〈資格〉
作業療法士( 2000年取得)
作業療法学修士(2008年取得)
認定作業療法士(2008年取得)

〈学歴〉
愛知医療学院:2000年卒
首都大学東京大学院:2008年卒

〈職歴〉
2000年:茅ヶ崎新北陵病院
2025年:茅ヶ崎中央病院(現職)


講演内容

「作業療法士の専門性はなんだろう?そんな思いをいつも抱えながら業務を遂行している」これは基調講演を担当されている齋藤さん、上江洲さんが執筆された著書の冒頭に書かれている文章である。日本作業療法学会では1975年に「私の考えるOT」、1986年「作業療法・その核を問う」、1987年「作業療法・その核を問うⅡ」、1989年「再び作業療法の核を問う」と、何度も作業療法の専門性を議論する機会が設けられており、この疑問は本邦の作業療法誕生以来の悩みである。しかし学会では一つの回答が示された。その答えは「作業」であったが、機能訓練の扱いや捉え方に課題を残している。作業を核とする実践では、作業を専門性の中心に置いたOCP(Occupation-Centered Practice) がある。OCPでは、病気や障害に関係なく、クライエントが意味のある作業に参加できることに着眼する。そのため非常に個別性が高く、主観を大切にするため「作業療法の曖昧さ」が残る。この「曖昧さ」をそのまま引き受けることが、作業療法の専門性であるが、他職種の認識や同職種間でも機能回復指向が強く、この理解には至っていない。

そこで「作業療法の曖昧さ」を引き受けながら、他職種に期待される作業療法を展開し、同職種の中でも広がっていくような道筋を模索した結果、1つの解答が「作業療法リーズニング」にあると気がついた。医学モデルを背景とした機能訓練には、曖昧さは少ない。その再現性や客観性が臨床家を惹きつけ、OCPなどの主観を活かした実践では再現性や客観性に乏しく見えていたのかもしれない。しかしOCPで再現性や客観性が得られた場合、どうであろう?作業療法のリーズニングには、他職種の追従を許さないほど多くの専門的なリーズニングが存在する。本講演では「作業療法の曖昧さを引き受ける作業療法のリーズニング」を参加者と共有し、作業療法の専門性や作業についての議論を深めたい。