タイトル

「服飾デザイナー×OT=医療と衣料を繋げる「採寸士」 全ての「身体の個性」に応えるファッションへの新たな取り組み」


プロフィール

〈職歴〉
ユベール・ド・ジバンシィオートクチュールアトリエ
東京医科歯科大学大学院講師

〈所属学会〉
一般社団法人 日本ヘルスケアダイバーシティ学会理事
NPOリンパカフェ理事

〈著書・メディア〉
鶴丸メソッドメディカルファッション(講談社エディトリアル)
NHK「目撃!日本列島」「おはよう日本」「ラジオ深夜便」「ときめきインタビュー」
BSフジ「一滴の向こう側」 朝日新聞「ひと」 日経新聞「文化」 など

《鶴丸礼子の「服は着る薬」BLOG》
https://kirukusuri.exblog.jp/


講演内容

メディカルファッションと作業療法士
服作り44年。オートクチュールから身障者の服へと、振り返ると服は奥が深い未知の領域であると感じます。人の体は左右対称では無い為、傾き・ねじれ・サイズや可動域・機能の違い等、個々に合わせて作る事を基本としています。「からだに合わない服を着ていると、障がいはどんどん進む」という事を、脳性麻痺の男性から教わりました。また、身体の歪みに合わせた服を着ていた女性の左右差が無くなり、左右対称にリフォームをした事も有ります。人の皮膚と脳の関りはどうなっているのでしょう。服が直接、難病や障がいを治すことは出来なくても、先ず、からだに合わせた服を着られる状態へ可能にする事で、QOL被服心理、被服行動が大きく高まる事を立証して来ました。鶴丸式製図法は、46か所を採寸しますが、その内の26か所だけで正確な原型作図が可能です。原型を展開して様々なデザインの服を作る訳ですが、この採寸箇所を、筋肉と骨の名称に置き換えて、OTに採寸して貰う試みを始めています。OTが採寸したデータを受信して、場合によってはリモートで仮縫いもし、服を仕上げて届ける。これを実現させる為には、服が本当に作れる技術者と、信頼出来る採寸士が必要なのです。ひとのからだを熟知しているOTが、服を作る領域でもその専門性を発揮出来たら、より質の高い服を提供出来ると予感しています。


プロフィール

〈学歴〉
医療福祉専門学校 緑生館 作業療法学科卒業


講演内容

人は生まれて人生を過ごし、亡くなり棺の中まで『衣服』を着ます。また衣服と想い出は密接な関係があり、「あの時に着た服」と思い出すことも多くあると思います。しかし病気や障がいにより、着たい服が着れない方も多くいらっしゃいます。私たち作業療法士はそのような方に対し「更衣動作」のリハビリを行ないますが、デザイン性よりも着やすい服や動きやすい服をご本人様が選ばれている事が多いのではないでしょうか?私たちの仕事は更衣動作を獲得すること以上に「その服を着てどこに行くか?その時にどのような気持ちの動きが現れるか?」を大切にしたいと考えます。

そのような現場背景から作業療法士がファッション業界に関わることへの必要性は高く、作業療法士の活躍の場として今後求められてくると考えます。その始めとして今回取り組み始めたのが、作業療法士による『採寸士』です。解剖学・運動学の知識を持つ作業療法士が衣服製作に必要な採寸を行ない、ADL・IADLに必要な衣服の工夫をファッションデザイナーに提案します。それを元にファッションデザイナーが衣服をデザインし製作を行ないます。完成した衣服は身体のアライメントの変化に対応され、デザイン性を持ちながら着やすく・動きやすい衣服となりその方の心と体を動かします。

今回の企画では『採寸士』講習を修了した作業療法士とファッションデザイナーがコラボレーションをして衣服を作成した過程を動画にてご紹介いたします。

『医療と衣料を繋ぐ』作業療法士の活動。ご興味のある方は是非ともご覧くださいませ。

※動画のURLは後日『第24回福岡県作業療法学会』のホームページにて公開いたします。

〈参考資料〉
一般社団法人 日本作業療法協会 HP『いきいきと暮らすための服づくり」 https://www.jaot.or.jp/ot_job/to_live/detail/33/