タイトル

運転の作業分析と納得するための体験 〜停止車両評価とプレアシリーズの開発〜


プロフィール

〈現職歴〉
合同会社ラシエイド代表
一般社団法人リハケアネットワーク代表理事

〈資格〉
認定作業療法士
停止車両評価インストラクター
福祉用具プランナー

〈学歴〉
国立善通寺病院附属リハビリテーション学院作業療法学科卒

〈職歴〉
医療法人道志社小松島病院
学校法人勝浦学園徳島医療福祉専門学校
医療法人いちえ会洲本伊月病院 など

〈所属団体〉
一般社団法人日本作業療法士協会(理事)
四国運転リハプロジェクト(プロジェクトリーダー)

〈著書〉
藤田佳男・澤田辰徳 編著(2018)『作業療法とドライブマネジメント』文光堂.「停止した車での評価」p70−75,「四国の取り組み」p184-185「作業療法ジャーナル51巻4号」三輪書店.『介護予防の実践例 士会による訪問型サービスの展開』. p.276-284


講演内容

住み慣れた地域で自分らしく暮らすために、人とつながり地域社会に所属するのである。更に、自分らしくあるためには、所属していたコミュニティを繋ぐための移動およびコミュニケーション手段の確保が鍵となる。

ましてや、脳卒中や脊髄損傷などの障がいのある方が社会復帰を希望する時はどうであろうか。一番大切にしたいのが「ご本人やご家族が納得しているか」という点である。納得するためには十分な説明が大切であるのは既知のことであるが、安全な体験も納得するための手段の一つである。最近では、シミュレーターで運転環境が体験できるため、導入する病院や施設も増えており、教習所との連携も少しずつ広がっているようである。しかし、限られた環境でも体験することを通じて運転能力を確認できる手法はないか、2014年に四国運転リハプロジェクトをスタートさせ、考案したのが「停止車両評価」である。駐車状態の車を用いて、ドアの開閉や乗降動作、各種スイッチの操作を確認する。そして、ハンドル旋回能力や、アクセル&ブレーキの持続時間や踏み替え時間、専用スケールを社外から動かすことで車両感覚を確認する手法である。そして、療法士は運転の作業分析を同時に行うことができ、何が原因かを動作の流れを見ながらプログラム立案や今後の支援プロセスに活かすことができる。作業分析から課題を抽出した後、室内プログラムとして活用できるハンドル、ミラー、ペダルを開発した。それが、弊社と協力体制にある企業とのコラボレーションで進める「プレアシリーズ (PreDR = PreDriving Rehabilitation)」である。詳細は学会にて報告する。「運転」は生活と人生に直結した作業となる場合、「十分な説明」と「納得するための体験」が必要であろうと考えている。そのための体験に重きをおいた支援を提案する。