タイトル

自費リハ(保険外)領域から視た作業療法の在り方


プロフィール

〈現職歴〉
株式会社きゅうすけ代表取締役、作業療法士、AMPS認定評価者、AMPS認定講師

〈学歴〉
大分リハビリテーション専門学校 卒業
県立広島大学大学院 総合学術研究科 卒業

〈著書〉
(近著のみ記載、論文は割愛)
• 齋藤さわ子, 吉川ひろみ(監訳): 作業療法介入プロセスモデル:トップダウンのクライアント中心の作業を基盤とした介入の計画と実行のためのモデル:Fisher AG:Occupational Therapy InterventionProcess Model: A Model for Planning and implementing Top-don, Client-centered, and Occupation-based Interventions. Three Star Press,Colorado, 2009. (一部翻訳)
• 吉川ひろみ,斎藤さわ子(編):作業療法が分かるCOPM・AMPS実践ガイド. 医学書院,2014.(一部執筆)
• 重森 健太,横井 賀津志 (編): 地域リハビリテーション学 第2版 (PT・OTビジュアルテキスト).羊土社,2019.(一部執筆)
• 吉川ひろみ(編):作業療法の話をしよう.医学書院,2019.(一部執筆)


講演内容

弊社は、訪問型自費リハビリ事業と通所介護提携事業の2つの保険外事業を展開しています。保険外事業という特性上、制度上の問題でリハを受けることができない方(リハビリ難民)や、現状のリハに満足することができない方などから、多くのお問い合わせを頂いています。

リハビリ難民については、社会問題としてメディアに取り上げられることがありますが、現状のリハに不満を抱いている方々の声は、「担当者には直接言いづらい」という理由で、普段は耳にすることはないと思います。

一方で、自費リハ事業に携わっていると、「藁にもすがる思いで連絡しました」、「このままでは本当に寝たきりになるので、助けてください」など悲痛な声が多く届きます。

では、一体なぜこのような現状が生まれるのでしょうか。協会の会員調査では、「訪問リハ」や「通所介護」などで働く作業療法士は約5%程度であり、地域で働く作業療法士の数は極めて少数となっています(*病院からの訪問リハ割合は不明のため除外して算出)。この数字から見ると、地域で働く作業療法士の数はまだまだ少なく、モデルとなる介入例がないことが一因であると考えられます。

また、介護保険分野では、医療保険分野と比較して、クライエントの「活動」や「参加」に対する成果を求められ、他職種と連携して作業に焦点を当てた介入を行う重要性が高くなります。そのため、回復モデルだけでなく、習得モデルや代償モデルを効果的に用いる必要があります。

今回の講義では、退院支援に関わる回復期の作業療法士や、訪問/通所などの地域で活躍する作業療法士が、どのようにしたら作業に焦点を当てた質の高い作業療法を提供することができるのか、ということを私見に基づきお話しさせて頂きたいと思います。