基調講演 講師:香山明美

貴重なご講義を、ありがとうございます。 作業療法士として知識、技術を高めていく必要があると改めて感じました。 災害支援活動に感しての詳しい内容も、大変参考になり興味が湧きました。
質問を失礼致します。地域の中での役割活動の創出やサロン等の開設とスライドにありましたが、香山先生がされた取り組みがあれば教えて下さい。また、病院に勤務している作業療法士がどのように行動すれば良いか教えて頂きたいです。
ご質問ありがとうございます。
私自身の取り組みについてのご質問ですが、
私は精神科病院に勤務していた際には、院内で多職種チーム(医師、看護師、精神保健福祉士、作業療法士)を編成し災害支援を展開しました。
「いきいきホットサロン」と称し、医師による「災害と心理的変化等」の講話、作業療法士による「ストレッチ」と「簡単なもの作り」と、個別相談等にも対応できるような活動を展開しました。この活動で、参加者が笑顔になって帰って行かれる体験を通して、作業療法士としては作業の力を実感する体験となりました。
また、地域住民の力を引き出していく創出事業も継続的な活動を展開することで可能になってきます。病院に勤務する作業療法士として大切なことは、常日頃から多職種チームで連携しながら仕事をしておくことだと思います。これえは地域の事業所や保健師等との連携も含みます。そのことが非常事態にも、新規事業を展開する時にも活かされます。コロナ禍でも活かされています。
この度は貴重な講演に感謝申し上げます。近年のコロナ問題、災害時におけるOTのあり方、その中を経てOTを目指す教育現場での課題と対応課題をまとめてくださり、作業療法士の明るい未来と文化づくりへの期待、大変良き学びとなりました。1点だけ質問いたします。私などは、多少心理のフィールドに足をかけていますので、事故や災害時など、「サイコロジカルファーストエイド(PFA)」をまずは重んじるかと思います。それは、被災混乱期は専門職としてでなく、まず「専門家ではない同じ人間として」そこに赴くという視点です。先生のご経験で混乱期から医療従事者としての救助が論じられましたが、これから災害支援をガイドライン化するにあたり、PFAのような視点も必要かと思われますが、やはり作業療法士は医療支援のできる専門職種として現地に赴くべきなのでしょうか。
ご質問ありがとうございます。
今回の講演では触れていませんでしたが、PFAの視点は、災害支援をする上で大変重要な視点だと思います。これはどのような非常事態でも活かされると思いますので、専門職であれば研修を受けることをお勧めしております。
作業療法士が医療支援ができる専門職種として現地に赴くべきかどうか、というご質問ですが、
もちろん、直接支援に行けるようであれば、行った方が良いと思いますが、今の自分がすべき業務があるのであれば無理に赴く必要はないと思います。
災害支援は現地に行かないと支援にならないかと言うとそうではなく、その人が出来る範囲で行うことが原則だと思います。可能な限りの支援ができれば良いと思います。(被災地が求める物資を送る、被災地産のものを購入するなどなど)
是非、被災地に赴き支援を行いたいという希望があるのであれば、常日頃から職場や家族の理解を得ておく必要があります。自分のニーズで支援を行う覚悟を決め、支援は被災地のニーズに従う(必ずしも医療職として、作業療法士としての力が発揮できるとは限らない)原則を持って支援をして頂ければと思います。

特別講演② 講師:寺岡睦

認知症の方にCAODを用いるときのポイントや留意点など、ご教示頂ければと思います。
宜しくお願い致します。
ご質問ありがとうございます。
認知症の程度にもよりますが、まずは観察と情報収集をしっかり行って下さい。
その後、CAODを用いてクライエントの作業機能障害を評価すると良いですが、そのときは質問紙の内容が伝わりやすいように具体的な例を用いて説明することが良いかと思います。
認知症の方へのCAODの得点の信頼度などはまだ検証されておりませんので、臨床で使用するのであれば数値にとらわれず、CAODの項目をきっかけとしてクライエントの作業機能障害を理解することに努めていただけると良いかと思います。
観察や情報収集から想像できるようなクライエントの作業機能障害を本人の中でも体験しているかどうか、作業機能障害に関してどう感じているかを、面接も交えて理解していくと良いかと思います。
ぜひ頑張って下さい。

特別講演③ 講師:淡野義長

災害に対して研修会で皆さんの反響が良かったものなど教えていただけますでしょうか?今後の研修会の企画に活かせればと思っております
座学とワークとやっていますが、参加型の方が、参加者の反応は良いですね。内容は、依頼元と話し合って提案しています。

以下は、今までにやってみた研修の例です。

●座学では、災害フェーズと、実際の活動例 が比較的興味持ってもらえるように感じています。

●ワークの例

・イメージ訓練:発災時の対応:職場、訪問先、自宅、夜間など

いざという時の準備:職場、家族

・BCP作成:BCP作成の考え方:職場、県士会

・ロールプレイ:避難所でどうしよう、避難者体験、支援者体験、インテーク

・住民主体の避難所運営についてのグループディスカッション

・REHUG※など、本部運営シミュレーション

※REHUGは熊本県理学療法士協会が作成した、JRATの現地本部でのシミュレーション体験ができる有料教材です。カードゲーム化されています。

※熊本県理学療法士協会ではREHUGのほか、無料開放している教材もありますので、HP上の「災害リハビリテーション」のところをクリックしてみてください。熊本地震に関わった方なら、よりリアルに体験できると思います。

特別講演④ 講師:飛田恵美子/香月真

飛田先生 香月先生 飛田先生の震災後の地域の集いの場が果たす役割、その中でのものづくりの果たす役割を認識し、人は何かをする事、人と集う事でエネルギーの反応が起こると改めて感じる事ができました。 香月先生のお話では、作業を通じその方の人生観や現在の生活での役割を創り上げていく視点を、リアリティを持って教えていただき年齢を重ねられても、重ねられたからこそ、その方が持っておられる力の奥深さを感じることができました。 モチベーションが持てるお話をいただきありがとうございます。 私は昨年12月に地域包括支援センターに配属になり、来年度から地域の集いの場づくりを展開していく予定です。まだ私自身の経験もなく、実際地域集いの場で実働している場所も少ない状況で手探りで進めていく事になります。 今の想像の中で課題と感じているのは、 集いの場、にご自身から出てくることができない方(概ね気持ちや関係性の問題が多いのかと思いますが)にどのようにアプローチしたらよいのか、という点です。 東北のものづくりの場でも、その場に出て来られるまで葛藤があった方や、参加されていない方も多数おられたのでは無いかと思います。その方々に対して、コミュニティが何か働きかけをしていたり、取り組みがあるのであれば教えていただければと思います。 また集いの場を運営していくのは、基本は地域の方ご自身なので、参加者さんの関係性を保つ事やお互いのできる事を認識している事も重要かと考えています。香月先生のデイでは、その方その方に応じた声かけや作業の提案を自然とスタッフの方がされておられるとのお話でしたが、地域の方々にその視点を共有していただくために、わかりやすく簡単な方法はが無いかと漠然と考えております。(作業の種類を増やす、作業が地域の中で意味のあるものをめざす、定期的に興味関心などのチェックシートを行う、などをイメージしています)。先生方のご経験からアドバイスをいただけるとありがたいです。
(香月先生からの回答)
質問頂きありがとうございます。あくまでデイサービスの中での話になりますがデイサービスの活動の中でも、集団活動に馴染めない方や苦手とする方はいらっしゃいます。その中では個別対応からスタートすることや「あなたが言うなら」という信頼関係を構築することはもちろんの事、集団活動の人数や活動内容に配慮しています。少人数や場を共有しながらそれぞれが好きな活動を行っているようなものはハードルが下がるかもしれません。 また集団での活動は、対談でもありましたように復興という目標から始まったモノづくりが活動開始から一定期間経過した後「集まりの場としての継続」と「仕事」という価値観の相違から話し合いが必要になったように活動の目標や方針、その中での各個人の目標設定、目標や方針の定期的な見直し、活動状況の確認といったように時折でも助言が行えると良いのではないでしょうか?

集いの場の目的が「個人の健康維持」であると、体操や認知症予防などに特化してしまいがちで個人の趣味や習慣は後回しにされがちですが、それぞれが「自分にとって意味のある活動」を続けていく事がウェルビーイングに繋がることをまずは知っていただくことや人の役に立つといった「利他的」な活動に繋がっていくとより活動が継続していけるのだと思います。

介護保険サービス内での活動と地域の集いの場では特性もアプローチの方法も変わっていくでしょうが上記の内容は共通して言える事ではないかと思った次第です。

(飛田先生からの回答)
講演・対談を聞いてくださりありがとうございます。
ご質問いただいた「集いの場にご自身から出てくることができない方にどうアプローチするか」について、東北では「ものづくりの場に参加して元気になった方が、自分と同じように落ち込んでいた方を誘い、メンバーが増えていった」という話をよく聞きました。最初は少人数でも、来てくださった方が心から楽しいと思える場になれば、自然と広がっていくのでは、と思います。ご友人を誘ってもらうようお願いしても良いかもしれませんね。

「同じ地域でも細かな地区ごとに仲間意識があったり相性があったりするため、一緒くたにせず開催日・グループを分けている」という団体もありました。普段は別々に集まり、ときどき合同イベントを行うようです。不特定多数の人が集まる場は苦手だけれど、少人数なら/顔見知りの人が多い場なら参加できる、という方もいらっしゃるのでしょうね。

「お茶のときに食べるおかずを作ってくれない?」「写真を撮ってくれる人を探している」「あなたがいると◯◯さんも参加しやすいと思う」と、その人の得意なことをお願いしたり、役割を付与したりすると、「しょうがないなぁ」と参加してくれる、という話も聞きました。とくに男性はその傾向が強いようです。

また、東北の例ではなく恐縮ですが、島根県雲南市のコミュニティナースのみなさんは、地元を良く知るおばあちゃんたちを地域の拠点の「管理人」に指名して「地域おせっかい会議」を開いたり、地元住民の方の得意なことを披露してもらうイベントを開催したりといった工夫をしていました。参考までに、以前私が取材した記事を共有させていただきます。(https://www.hinagata-mag.com/comehere/37147)

可能であれば、住民の方の暮らしの動線に出張するのもひとつの手かと思います。兵庫・豊岡の「YATAI CAFE」の事例が参考になるかもしれません。(https://note.com/ymrmn/n/n3ca817dcf1bd)

質問者さまが展開される集いの場が良い場になりますように。応援しています。

特別講演⑤ 講師:籾井剛士

一体化事業の概要を教えていただきありがとうございました。制度ができた経緯や、費用、データ、目的などがよく分かりました。 ありがとうございます。 私は福津市地域包括支援センターに昨年12月に配属され、何も現状が分からない状態で一体化事業の会議に参加しましたので、先生のお話で今後の方向性のイメージが少しできました。 先日の一体化事業の会議では、市の健康課が行った心身の評価を元に、ハイリスク者のピックアップを行いましたが、MCIが疑われる方が地域で多く生活されているのではと感じ、同時に意欲や自信をなくしておられる方にMCIが予測されるデータが出ているという印象でした。 やはりコロナ禍で人との繋がりが少なくなっている事が大きな要因の一つと考えられますが、現状はもう少しの間は感染、予防しながらの活動が続くかと思われますし、そもそも人と繋がる場へ出かける意欲や方法が無い方も少なくないと思います。オンラインで認知症カフェや家族会などを開催されているという話も聞きますが、実際に地域の高齢者の方にオンラインのシステムを活用されている取り組みや、活用するための準備など先生がご存じであれば教えていただきたいです。 また、MCIが予測される方(ご自身では認知機能低下の自覚がない方)に対して、活動の継続の必要性をお伝えしていく動機付けのヒントや、目標設定の仕方、達成度の確認(評価の方法など)などを教えていただけたらありがたいです。 これから地域の活動を運営、継続されていかれるのは地域の方ご自身なので、目的をある程度明確化して、取り組んでいることの達成感や役割をご自身で感じていただける事が出来ないかと考えております。 まとまらない質問で申し訳ありません。
御質問ありがとうございます。
一体化の概要を理解していただき、ありがとうございます。御質問にもあるように、ハイリスクアプローチ(地域評価、訪問相談・支援等)をしていく中で、MCIの方が多く見られ、受診につながっていなかったり、診断名に上がってないことが多く見られます。我々OTは、基本的には病気や障がいがある方(診断名、処方等)を対象に展開していきますが、一体化の中では、まだ健康な状態、不健康でも医療、介護につながっていない状態の方を対象にすることが予測されるため、保健師と連携して、適正なサービス・活動・環境(医療、介護、地域活動、就労、自宅環境等)を評価して、わかりやすく本人家族へ情報提供することが求められます。
その中で、動機付けのポイントは、「本人がどうなりたいか?」「本人が健康へのイメージをどのようにしたらもてるか?」がキーワードになると思います。これから始まる一体化の事業で、おそらく(私見ですが)、検診を定期的に受けて、医療介護を利用してない方、もしくは生活習慣病で合併症を発症していない方からハイリスクアプローチを実施して、それから、健康状態不明な方、合併症のある方、介護保険で重度化防止につながる方へとつながっていくと予測しています。まずは、合意形成が取りやすい方から健康増進を図り、並行して健康状態が困難な方も一緒に予防していくと思います。OTとして、自宅環境、生活状況(ADL,IADL)、検診結果等からその方の健康を予測して、活動の動機付けをしていくことが重要と思います。
高齢者のオンラインサロンは、昨年から私も挑戦しており、ZOOMを活用した介護予防教室を、市役所と公民館をつないだ活動を実施しました。介護予防を実施する中で、運動方法を教えるだけでなく、リアルタイムな声や、質問に答えるなど、直接会わなくても人と人の交流が運動のきっかけになったり、運動を楽しく感じると体験しました。また、運動することがゴールではなく、運動して体の状態が良くなったら、生活変化が出ているか意識させるためにも、リアルタイムでのやり取りの重要性を感じています。
今後、一般介護予防、認知症カフェ、サロンなどオンランイン化が進んでいくと思います。我々OTが、画面上でわかりやすく、楽しいプレゼンができることが重要となると思います。介護予防の立ち上げ支援のように、地域のオンライン立ち上げ支援(ZOOMの使い方、ポケットWIFI等の通信環境の作り方、音響の設定等)OTも作業療法以外に知って、一緒に作っていく姿勢が大事と思います。(高齢者はスマホやネット環境がないので出来ない、WIFI環境がないので出来ない、などマイナス要素で止まらない気持ち、どうやったらできるか常に考えて、行動する姿勢が重要) これから一体化事業、認知症事業に携わっていく中で大変かと思いますが、一つ一つ課題をクリアーしていき、市民の健康に寄与できるように一緒に頑張っていきましょう。私もまとまらない回答ですみません。
とても興味深い講演ありがとうございました。先生の講演の中に、「依頼やお願いされるように介護予防に参画する」とありましたが、私も携わりたいと考えています。参画するには、福岡県士会で相談してアドバイス受けることは、可能なのでしょうか? 地域に貢献できたらと考えています。 糟屋郡久山町なので、直接役所で相談した方がいいのでしょうか?
御質問ありがとうございます。
福岡県作業療法協会の保健福祉部が地域の介護予防、地域ケア会議に関する出務関係を対応しており相談可能です。もし、市町村の地域包括支援センターや、高齢者の一般介護予防事業の担当の方とコンタクト取れるなら相談してもいいと思います。1人で対応すると継続性や範囲など限られるので、協会に相談していただき、一緒に考えて、行動できたらいいと思います。

教育セミナー② 講師:松澤良平

リハビリの実施内容(外来、通所など)の上位に「作業」が入っていくには、今後どのような事が必要でしょうか。また、作業療法の「おべんとう」と「味変ソース」を用いるため必要な知識や経験など、ご教授頂ければと思います。宜しくお願い致します。
>リハビリの実施内容(外来、通所など)の上位に「作業」が入っていくには、今後どのような事が必要でしょうか

一つはOTが提供する内容の説明が大事だと思います。
また、身体機能を改善した先にどのように生活につなげたいか聴くことだと思います。
今回の事例のように、身体機能を改善するメニューから始めて、タイミングを見て、作業を行うと良いと思います。
一つ結果が出れば、作業に取り組むことが容易になると思います。
また、他の患者さま、利用者さまが行っていることを目にすることで、自分もやりたいという気にさせていく方法もあるかと思いました。

>また、作業療法の「おべんとう」と「味変ソース」を用いるため必要な知識や経験など、ご教授頂ければと思います。
まずは、LINEのオープンチャットで公開しているマニュアルをご覧いただきたいです(https://x.gd/U91gr)。
推奨する理論、モデルを紹介しており、作業療法を進める手順も公開しています。
そして、この行動モデルを実践していただき、ヴァージョンアップにご協力いただけると幸いです。

ニーズ・デマンドを引き出すにも、その後に作業療法を進めていくにあたっても、お弁当箱の敷き物に当たる、治療的地位信頼共同関係の重要性を非常に感じました。
私が訪問作業療法を行っていく上で難しいと感じているところですが、本人の希望と家族の意向が異なる場合、本人との信頼関係だけではなかなか進められないことがあります(特に、最初の動画にあったようなリスクのあるような活動である場合)。
通所リハ・訪問リハで、家族と十分にコミュニケーションがとれない場合、どのように家族との信頼関係を築き、作業療法を進めているのか、お聞きしたいと思います。
ご質問いただきありがとうございます。
家族内のパワーバランスは気を遣うところですね。
様々なケースが考えられますが、
おそらく悩むのは、対象者本人を大事に思っている家族のパターンかと思います。
家族と時間が合わない場合は、連絡ノートを用意していただいています。
また、電話連絡を随時行っています。家族の都合の良い時に折り返してもらうこともあります。
メールでのやりとりはケースとしては少ないですが、行うこともあります。リスクによって、
意見が割れる場合は、対象者本人と家族がそれぞれ納得できるポイントを探します。
対象者本人が持つ作業の意味を確認し、
なるべくリスクのないように難易度、環境を調整します。
家族が確認できるように動画に残すこともありあます。

また、作業を行わないことで起こる健康リスクも家族に説明します。
例えば、身体的活動量、精神的な充実、認知的な面の低下などです。

専門的な視点から、対象者本人と家族が判断できるように、わかりやすく判断材料を提供して、
加えて、同じ内容を介護支援専門員など、多職種にも説明して、情報共有をして、
最終的には対象者本人と家族でよく相談して決めてもらっています。

教育セミナー④ 講師:安永昌徳

最近は地域での生活の大切さが言われている事が多くあっていますが、退院支援の中でもあまり地域の特性にまで意識出来ていなかった事に改めて気付くことができました。ありがとうございました。そこで1つ伺いたいのですが、地域の特性を知るために情報収集など何か行っている事があれば教えて頂きたいと思いました。よろしくお願いいたします。
ご質問ありがとうございます。
退院時の支援など、限られた情報の中で、自分がそこにいなくても大丈夫な環境を想像し、提案するのは大変です。実際、地域は知らないことだらけです。そのためにみんなの力を借ります。サービスや家族、近所の人、サークル、地域資源など、あるものは何でも利用します。
実際に感じることですが、やはり地域の事情を知るには、そこに住むか、その場所で働くのが一番早いです。そして『町報』や『区報』などを必ず見るようにします。そうすることで自分が濃く関わっている地域なので勝手に詳しくなっていきます。
今はネット等でそこら中に答えがあります。しかし、無駄な情報もかなりあります。自分に関心のある情報や、退院する患者さんに関する項目だけ調べるのも良いと思います。それの積み重ねです。意識をもって、アンテナを張ってみてください。
地域の事情を知る必要性を感じて頂けて良かったです。感謝申し上げます。
地域ケア会議に臨むにあたっての心構え、事前に準備しておくべき点など、ご教授をして頂ければと思います。宜しくお願い致します。
ご質問ありがとうございます。
会議に参加するにあたっては毎回、緊張しています。それほど参加の頻度も多くないため、いつも、面識のない方ばかりです。実はビビリながらの発言です。
事前準備していることは特にありませんが、会議前の待ち時間に『場を温める』ため、沢山どうでもよい話をして、無駄打ちしています。それだけで周囲の自分への警戒も減り、自身も発言する事前練習になります。
会議中は、提出された症例の数ある課題に優先順位をつけることを心掛けます。生活を邪魔している本質の課題に対してのみ、発言します。それだけで後は流れ作業的に本質課題の解消に向けた話し合いになります。みんな思うところ、感じることころは似ているので、あとは他の人が話す機会を奪わないようにしています。
ケア会議での参加者間の関係性づくりのお話し、大変参考になりました。 緊張する会議の場で、少しでも事前にコミュニケーションを取っておくと、お互いに発言がしやすくなると実感しています。 安永先生のお話で、それぞれの会で進行の違いがあるのかな、と感じた事があり質問させていただきました。 私が参加している市町村の会では、 その方の生活で、それぞれの専門職が着目した点に対してコメントをする事が多いのですが、 安永先生のお話では、その方に必要な事、方向性を決めてその事に対して専門職が提案をするような印象を受けました。 ケア会議の短い時間で、テーマに対してのアプローチ方法を一つに絞り、それについてディスカッションできる会議は(進行の方の技術も含め)大変有意義なものであり、反面、難しい面もあるのでは無いかと思い、現状を教えていただきたく質問させていただきました。/dt>

ご質問ありがとうございます。
ご質問の答えとしては、行政職員の能力が大きいと言えます。場数をこなしている行政職員の誘導により、主な課題解消のための本筋の話がとても明確で、主旨がブレないことが多いので安心です。各職種があまりにどうでもよい話を長々していると行政側の上役から『待った!』が入ります。そういった意味では頼もしいです。反面、専門職種にはシビアです。結果、会議終了までほとんど発言できない専門職も出てきます。それが現実です。
何にしても、各職種が自分の専門性ばかりの発言をして、くだらないマウントの取り合いにならないよう、ある一定のポイントで誰かが修正している現状があります。地域性はあるでしょうね。たまたま私の参加する会議体では目の肥えた行政職員が多い印象です。

教育セミナー⑤ 講師:米島健二/榎本孝史

榎本先生、この度は大変貴重な対談を聞かせていただきありがとうございました。
榎本先生のお話を伺わせていただく度に、先生は生活の全てを精神障害者の生活支援に捧げておられる様子が伝わってきて、作業療法士の可能性を学ばせていただく良き機会となります。先生は苦を苦と思わないご性分なのでしょうか、表にでないご苦労がもっとあったのではないかと察します。私も長く精神科での作業療法に従事していますが、医師の方針もあり「働くだけが幸せではない」と常々教えられますし、そのように感じることもあります。ですが時には、この方はもう少し働く方へ意識づけても良いのではないだろうかと葛藤しながらデイケアでの支援に当たっています。
 先生自身は医師との方向性の相違という壁をどう乗り越えて現在に至ったのでしょうか。
そこにはとても大変なご苦労があったのではないかと思いますので、そういったご苦労の一端をご教示いただけたらと思います。
今回の対談を、ご視聴していただきありがとうございました。

医師との方向性の相違の件ですが、基本はご本人の意向やニーズを中心に進める事が多かったです。

例え医師が就労に反対しても、ご本人が「働きたい。」と言えば、その方向に支援を進め、医師には事後報告が多かったです。

就労支援の過程で、社会資源や制度を知る。ご本人が働く気持ちになった背景は何か。どんな仕事を考えているのか。その仕事はご本人の良さが発揮出来るのか。仕事をやる上でのご本人がストレスと感じる事は何か。仕事以外の時間帯はどのように過ごすのか等、我々は病院の中で作業療法を実践していますが、作業療法の実践の場が地域に移行しただけだと思います。

のぞえ総合心療病院の連理先生が、20数年前のある講演で、精神疾患を抱え社会生活を送る過程で、様々な環境因子によって再発は避けることが出来ない。同じ再発をするなら就労の過程で再発した方が、その後の支援の具体性が見えてくる。質の高い再発の機会を提供する事が、地域支援には必要不可欠だ。と述べていました。

再発=マイナスの捉え方をしていると思いますが、何を隠そう対談した米島さんは、対談の中で触れませんでしたが、過去再発して10数回の入退院を繰り返してました。ここ3年間は入院をせずに何とか踏ん張ってますが・・・。

再発しても、その方にきちんと向き合って支援していれば、再発の要因が明確なため、入院期間も2週間から3か月以内で回復します。

生活を観ていない医師は、ご本人達の生活場面における得意な事、不得意な事、興味関心のある事、人との関わり方等、人としての当たり前の部分を観ずに障害として一括りしている所があります。ひとりの生活者としての見方をする我々作業療法士が、就労を含めた生活全般の支援を、ご本人のニーズに沿って実践していかなければならないと思います。

共に頑張りましょう。