
タイトル
行政における作業療法士の役割 ~こども家庭センターでの活動を通して~
講師

生駒 英長 Ikoma Hidenaga
大川市 子ども未来課(大川市子育て支援総合施設「モッカランド」)
課付係長兼児童発達支援員
こども家庭センタ― 統括支援員
プロフィール
〈略歴〉
・福岡国際医療福祉学院 作業療法学科卒業
・国際医療福祉大学大学院 医療福祉学研究科 保健医療学専攻 作業療法学分野 修士課程修了
・沖縄肢体不自由児協会 沖縄小児発達支援センター(現沖縄中部療育センター)
・福岡市立心身障がい福祉センター 肢体不自由児部門
・医療法人 ながら医院
・有限会社 いきいきリハビリケア いきいき稲富デイサービスセンター
・大川市役所 子ども未来課 大川市子育て支援センター
〈書籍〉
・即実践パーキンソン病教室-ちょっとした工夫で今日から使える-(分担)
講演内容
一般的に“行政で働いている作業療法士”と聞くいて思いつくのは、国立・公立病院や保健所、市町村の介護福祉課や障害福祉課などで仕事しているイメージを持たれる方が多いのではないかと思います。
現在、私は大川市の子ども未来課に所属し、大川市子育て支援総合施設(以下、モッカランド)にて、相談部門を統括する課付係長兼児童発達支援員として勤務しています。また、モッカランドには「こども家庭センター」の機能も備わっているため、統括支援員としての役割も担っています。
こども家庭センターは、2024年4月施行の改正児童福祉法に基づき、市町村での設置が努力義務とされた施設です。少子化や核家族化によって子育て環境が大きく変化する中で、児童虐待やヤングケアラーの増加といった深刻な課題が顕在化しています。こうした状況を踏まえ、従来の支援体制を見直し、より包括的な支援を行う拠点として設置されました。「ども家庭センターには、「子育て世代包括支援センター」と「子ども家庭総合支援拠点」の機能が統合されており、母子保健と児童福祉の連携が強化されています。その目的は、妊娠期から出産後にかけて安心して子育を行うための支援、虐待の予防、子育て困難家庭の支援まで切れ目のない幅広い対応を実現することです。いわゆるポピュレーションアプローチ(地域全体への支援)とハイリスクアプローチ(特に支援が必要な家庭への対応)を両立させる仕組みとになっています。
こうした社会的ニーズに応えるため、ケースに合わせたきめ細かな支援を行うためのサポートプランを作成し、そのうえで地域資源との連携を図り、子育て世帯を包括的に支えていくことを目指しています。
今回、こども家庭センターの役割を中心に、作業療法士として行政の現場で私がどのように業務に取り組んでいるのかについて、お話ししたいと思います。