タイトル

「私たちの就労継続支援B型の展開と葛藤」


質疑応答

 

ご質問はこちら 講師からのご回答

 


プロフィール

前畑 竜郎
社会福祉法人慈和会 就労継続支援B型事業所
工房あけぼの 管理者

〈学歴〉
平成10年3月 熊本リハビリテーション学院作業療法学科 卒業

〈職歴〉
平成10年4月 医療法人慈和会 大口病院 入職
重度認知症患者デイケア開設、精神科作業療法開設
平成25年4月 医療法人慈和会 障害福祉サービス事業所サンライズ(生活訓練・短期入所)
令和2年4月 社会福祉法人慈和会 工房あけぼの管理者現在に至る

〈他〉
社会福祉法人慈和会 理事
NPO法人トータルサポートネットワーク理事


講演内容

障害者就労継続支援B型(以下B型)は全国に約12,000カ所あり、主に一般企業や就労継続支援A型(以下A型)への就職が困難な障害者を対象に、年齢制限なく実施する授産事業(生産活動収入から必要経費を引いた額を工賃として支払う)で収益を上げて、障害者の経済的自立を支援するサービスである(A型は雇用型18歳~ 65歳まで)。

新型コロナウィルスの感染が拡大しはじめた令和2年の春。22年間作業療法士として勤務した医療法人を退職し、社会福祉法人が運営する多機能型事業所(就労移行支援:定員10名、B型:定員30名)の管理者となった。工房あけぼのの就労支援は、障害者と地域のお客様がつながる仕事を作り持続できる仕組みを残し、障害者が地域で活躍する姿が当たり前として認識されるよう継続した支援を目指している。これらが、障害者の経済的支援となることはもとより、障害者への理解を広げ、障害者雇用、社会参加の土壌づくりと考えるからである。私は管理者となって間もなく、経営的理由からやむなく就労移行支援を休止しB型に一本化(定員40名)を提案し決断した。弁当配送事業を開始し、電話・ネット受注、調理数の管理、盛り付け、配送、清掃、これらを複数の利用者とスタッフで行い1日75 ~100食の昼食弁当をスタッフと一緒にお客様に配送している。ランドリー事業は入院患者の衣類と市内2か所のこども園の園児服を回収し洗濯乾燥たたみ配送を行う。その他ブランド卵製造、無農薬野菜の栽培加工、天然酵母パン工房など多種多様である。ほぼすべてグループによる作業が中心で個別に支援を受ける利用者は一部である。利用者に当事業所を選んでくれた理由を問うと、工賃が欲しい、仲間との時間という回答が多い。平均工賃額は2万円。工賃額の維持は利用者ニーズからみても必要である。就労を提案できる利用者もいるが、利用者の希望は違っていたりする。逆に、就労への準備がなくてもマッチングでさっと就労できた利用者もいる。工賃月額が高いB型ほど個別に支援を行う時間が少ないという調査報告がある。確かに仕事が中心で個別の支援は少ないがB型には仲間同士で助け合い喜びあう場面もあり居場所としての役割が含まれているといえる。だからこそ、利用者の可能性の障害になってはいないかという視点が必要ではないかと考え始めている。支えあう仲間だから起きうること。皆さんの意見もお聞かせいただきたい。

就労B型の展開と葛藤
●弁当配送事業にチャレンジ
●保育園のランドリー事業

●農福連携 付加価値の高い商品開発
●その他の事業 主体性獲得、動機づけの工夫
●平均工賃月額 就労B型の葛藤