タイトル

「高次脳機能障害者の個々と繋ぐ作業療法の多様性と継続性」


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プロフィール

渕 雅子
九州栄養福祉大学 作業療法学科 教授 / 学科長

〈職歴〉
1981年九州リハビリテーション大学校卒業、同年九州労災病院勤務。
1990年誠愛リハビリテーション病院勤務、同副院長を経て2016年より九州栄養福祉大学教授
現在 九州栄養福祉大学 教授 学生部長 作業療法学科学科長

〈学歴〉
1986年北九州大学外国語学部米英学科卒業。
2000年日本福祉大学 情報社会科学部修士課程卒業
2009年日本福祉大学 情報経営開発専攻 博士後期課程単位取得退学

〈所属学会〉
●日本作業療法士協会
●日本高次脳機能障害学会
●日本神経心理学会
●日本摂食嚥下リハビリテーション学会
●臨床歩行分析研究会
●高次脳機能障害作業療法研究(世話人代表)
●日本ニューロリハビリテーション学会(評議員)

〈著書〉
●作業療法全書 第8巻 作業治療学5 高次脳機能障害 2011 協同医書出版社
●高次脳機能障害マエストロシリーズ③ リハビリテーション評価 医歯薬出版 2006 「観察の方法」
●臨床作業療法2012年~ 2014年 8回連載 「イラストで見る 脳卒中片麻痺患者へのアプローチ」青海社
●作業療法ジャーナル別刷 Vol.48 2014年7月増刊号 三輪書店  高次脳機能障害がある方への作業療法 「プッシャー症候群」
●高次脳機能研究 2019年 Vol.39 No.2 「半側空間無視のリハビリテーションの原点とトピック」
●対象認知・空間認知・病態理解の障害 新興医学出版社 2021 「視空間失認のリハビリテーション」
●作業療法ジャーナル別刷 Vol.55 2021年8月増刊号 三輪書店 脳卒中の作業療法最前線 「半側空間無視」


講演内容

1.はじめに
高次脳機能障害とは様々な高次な脳機能の障害の総称でありその病態は多岐にわたる。また、高次脳機能障害は見えにくい障害、理解しにくい障害であると言われ、その対応にも苦慮する。この高次脳機能障害を有す対象者に対し、私たち作業療法士はその生活障害に着目し、生活障害を改善し、対象者の生活・活動を支援することに大きな目標があると考え、個々の異なる障害に着目し、個々のニーズに向き合い、試行錯誤しながら高次脳機能障害の作業療法を積み重ねてきた。一方で高次脳機能障害支援モデル事業・普及事業を通して行政用語として定着し、また、障害者自立支援法の中で、様々な支援が可能となり、社会参加へのシステムも構築されてきている。このような経過の中で、私たち作業療法士は、これからどのように高次脳機能障害者に関わっていけるのか?いかなくてはならないのか?考えてみたい。

2.高次脳機能障害者に対する社会福祉制度の適応 ~障害者総合支援法を通して~
サービスは、障害の程度や介護者居住等の状況をふまえて、個別に支給が決定される「自立支援給付」と、市町村の実情に応じて柔軟に実施できる「地域生活支援事業」に大別され、就労移行支援、就労継続支援、生活介護、自立訓練など具体的な支援は、明確な相談支援のプロセスのもと決定されるようになった。

3.症例を通した作業療法の紹介
1)重篤なてんかん発作を持った症例
2)重篤の記憶障害を呈した症例 ~大学での活動を通して介入した症例~
3)遂行機能障害を呈した症例 ~生活機能獲得のプロセスを通して介入した症例~
4)社会行動障害を呈した症例 ~家族会と共に介入した症例~

4.まとめ
高次脳機能障害へのリハビリテーションの歴史は浅く、経験に頼るところが大きい。しかし福祉制度の構築は目覚ましく、社会参加への道も大きく広がってきた。この中で、作業療法士を含め医療現場は、様々な資源を紹介し早く次へのステージに移行する支援が大事になると考えられる。しかし、連携だけでよいのであろうか?作業療法士の特性を生かし、医学的な知識と個別性を重視した生活を見る視点、そして高次脳機能の可塑性と多様性を背景とした高次脳機能障害者の理解、これらを踏まえてさらに多様な介入ができると考える。医療現場での生活を見据えた個別介入と、社会参加を見据えた福祉制度の活用の連携を効果的にするには、それを繋げる作業療法士と、多様性と継続性を持ち合わせた作業療法が重要なカギになる、そうなりたいと考える。


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  • ISBN-10 ‏ : ‎ 426321563X
  • ISBN-13 ‏ : ‎ 978-4263215630
  • 寸法 ‏ : ‎ 25.7 x 18.2 x 2 cm