タイトル

「こころをつむぐ作業療法士の行動モデル〜作業療法のおべんとうと味変ソース〜」


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プロフィール

松澤 良平
イムス板橋リハビリテーション病院 リハビリテーション科 主任

〈現職歴〉
2016年からイムス板橋リハビリテーション病院所属。主に訪問リハビリ、通所リハビリに従事し、2019年度から入院も行っている。
修士(作業療法学)、認定作業療法士、専門作業療法士(訪問分野)、介護支援専門員、WRAPファシリテーター

〈学歴〉
2003年3月 YMCA米子医療福祉専門学校 卒業
2009年4月 首都大学東京大学院博士前期課程 入学
2011年3月 首都大学東京大学院博士前期課程 卒業

〈職歴〉
2003年4月から神奈川県川崎市の介護老人保健施設に5年勤め、埼玉県春日部市の介護老人保健施設に異動。2009年から併設の訪問看護ステーションに異動。2015年には地域包括支援センターの勤務も経験した

〈所属学会〉
日本作業療法士協会、東京都作業療法士会、日本作業科学研究会、作業遂行研究会、日本臨床作業療法学会、日本訪問リハビリテーション協会

〈著書〉
(共著)作業で語る事例報告


講演内容

2019年末に出現したコロナウィルスによって、2020年度からの臨床は様変わりしてしまった。当院の訪問リハビリでは感染予防対策として、公共交通機関の利用練習や買い物練習の中止を余儀なくされた。また、利用者自身が感染を恐れ、通所サービスの利用を控えることもある。加えて、感染予防のため外出先のサークルの活動休止で外出場所がないことも多々ある。そのため、利用者の社会参加の遅れがあることは否めない。

かくいう私もコロナウィルスの影響だけではないが、回復期病棟の入院業務も担うようになり、2020年度は作業療法を捉え直す機会になった。訪問や通所リハビリでは作業療法介入プロセスモデル(OTIPM)に沿って、作業に焦点を当て、なるべく作業を基盤として実施してきたが、入院では後輩の申し送りに従って関節可動域訓練や徒手的な痙性抑制手技を10年以上振りに実施した。OTIPMは作業を用いない介入は含まないため、作業療法の幅広さと複雑さを実感したが、自分自身が作業療法を提供できているのだろうかと悩むことになった。OTIPMを常に入院で用いることは、現状では難しいと考えられた。

そこで、OTIPMの考え方を取り入れ、理学療法及び作業療法、日本作業療法士協会の作業療法の定義、作業療法の歴史、そして現在の日本の作業療法の臨床現場に即した実践の枠組みを作ることにした。その結果、2021年3月に様々な理論や介入方法を詰め込むことができる「作業療法のおべんとうと味変ソース」が出来上がった。作業療法士は常に作業に関心を持ち、全てのことを作業に結びつけて作業療法を進めるモデルである。

「おべんとう」とは、Occupational therapistBEhavior aNd TOol Unit の大文字部分を読み上げたもので、作業療法における作業療法士の行動と使用する道具を意味する。作業療法のおべんとうの中には、既存の作業療法理論を取り入れた「作業的存在の支援」とOTIPMの主要部分を取り入れた「特定の作業遂行の支援」が入る。作業療法過程では、この2種類の支援方針を行き来し、バランス良く進めていくことが望ましい。「味変ソース」は作業療法士が関わることで、状態を変化させていくことを意味し、7つの介入モデルがある。

この枠組みを用いることで質の高い作業療法になりうると思われ、講演では事例を交えて説明する。


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