教育セミナー③ / 高橋啓吾｜第25回（2022年開催）

タイトル

「回復期リハビリテーション病棟でのMTDLPの活用」

質疑応答

プロフィール

高橋啓吾
リハビリテーション天草病院　認定作業療法士

〈現職歴〉
2002年作業療法士免許取得
2002年リハビリテーション天草病院　入職
2010年認定作業療法士　取得
2014年 MTDLP推進プロジェクト委員
2015年 MTDLP指導者　取得
2017年埼玉県作業療法士会　理事
2019年日本作業療法士協会　MTDLP士会連携支援室　室員
2021年日本作業療法士協会　MTDLP室　室員

〈学歴〉
1999年城西医療技術専門学校(現日本医療科学大学)入学
2002年同上　卒業

〈著書〉(分担執筆)
●事例で学ぶ生活行為向上マネジメント　医歯薬出版株式会社（2015/6/20）
●知覚に根差したリハビリテーション　シービーアール (2017/5/15)
●環境適応実践実技ノート〜中枢神経系障害への知覚探索アプローチ三輪書店 (2020/12/25)

講演内容

日本作業療法士協会では2008年より、老人保健事業推進費等補助金「高齢者の持てる能力を引き出す地域包括支援のあり方研究事業」に取り組んできました。本事業受託を通して、作業療法の基本的な枠組みをわかりやすく示すとともに「作業をしている人は元気で健康である」と言う理念を具体的に国に提案する方策として、生活行為向上マネジメント(以下MTDLP)が開発されました(日本作業療法士協会ホームページより)。

私は2014年から生活行為向上マネジメントの普及に関わり、2015年にMTDLP指導者となりました。その後、回復期リハビリテーション病棟(以下、回リハ)でMTDLPを活用してきました。今回は、回リハでのMTDLPの活用として、目標設定、シート類の活用、実践事例の紹介を講演させて頂きます。回リハ病棟の役割は、ADLの自立支援と自宅復帰への退院支援が大きな役割となります。そのため、セルフケアの自立を目標に関わることが多いです。実際に当院の患者様の目標設定を調査すると、8割はADLを目標としている結果でした。そして、趣味、余暇活動、仕事復帰に関わるケースは全体の入院患者様の2割以下となりました。生活行為の種類には、セルフケア・家事・仕事・余暇・地域活動がありますが、回リハ病棟ではセルフケアの目標が多くなることが特徴になると思います。

MTDLPシートの活用としては、回リハ病棟に入院される全ての患者様に適用できるとは考えていません。背景には、入院した直後で意識障害の強い方々には医学的管理が重要となりますので、合意した目標を協業しながら形成することや、MTDLPの全てのシートを活用することは難しい場合があります。しかし、退院支援については多くの患者様に『申し送り表』が活用できると考えています。回リハ病棟の運営では自宅復帰率が求められ、7割以上の方が、退院後に地域で生活することになります。その際に、ケアマネジャーなどに引き継ぐための情報伝達手段として、申し送り表を活用しています。当院の同一市内のケアマネジャーにアンケート調査を行うと、申し送り表は役立つ情報になるとの回答を頂きました。

実践例の紹介は、自宅退院に向けてケアマネジャーや住宅改修業者との連携した事例、ラーメン屋さんに仕事復帰した事例をMTDLPの観点から紹介したいと思います。MTDLPは、ADLの自立に向けて病棟看護師などのスタッフとの連携や役割分担、退院に向けて家族への介助指導、家屋環境調整を行うなどのマネジメントの枠組みを明確にすることには役立ちます。

今回は、回リハで使用している実践例を中心に紹介し、皆様の明日からの臨床のヒントが生まれるように講演したいと思います。

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