教育セミナー⑤ / 米島健二・榎本孝史｜第25回（2022年開催）

タイトル

「精神科領域の地域包括ケアシステム〜訪問看護ステーションと地域活動センターの実践報告〜」

質疑応答

プロフィール

榎本孝史
㈱モナトリエ・デ・フォレ　地域共生グループ統括部長

作業療法士、精神保健福祉士。精神科病院での臨床と教育現場に携わった長年の経験から、現在北九州市で精神科領域の地域包括ケアシステム構築に尽力し、精神科に特化した24時間、365日体制の訪問看護ステーションを活動基盤とし、就労支援、活動参加の場、居住の場の提供、地域住民との共生社会作りなどを展開している。

米島健二　60歳
特定非営利活動法人ウエンディ　理事長。
地域活動支援センターウエンディ本部　所長。
精神障害者ホームヘルパー、ピアカウンセラー、ピアサポーター。
サウンドセラピスト、レイキヒーラー、笑いヨガリーダー、シンガーソングライター。
ホームページ　https://www.wendy21.jp/member/

〈略歴〉
高校卒業後に東京で単身生活を送る。
フリーターをしながら、プログラマーとしての技術を習得する。その後、コンピューター関連の会社を設立（株式会社ウエンズ、有限会社ウエンディ）するが、この頃発病して４回の入退院を繰り返し統合失調症の診断を受ける（現在３級）。
平成８年から、精神障害者社会適応訓練事業を（職親制度）を３年間利用し、その間の平成10年に同じ訓練仲間とセルフヘルプグループ「Wendy21」を設立する。
職親制度終了後は、平成11年に当事者で運営する障害者小規模共同作業所「ウエンディ本部」を立ち上げて、代表となる。

新門司病院の売店業務電算化を中心にして、パソコン教室の開催、年賀状や案内状の作成及び印刷など各団体からの業務委託を受けながら、代表兼指導員として奮闘。
平成16年に特定非営利活動法人ウエンディを立ち上げ、精神障害者ホームヘルーパー事業、出版事業、作業所から地域活動支援センターウエンディ本部（主に精神障害者の日中のフリースペース）へ移行しセンター長業務とピアカウンセラー業務を主軸としながら、同じ障害を持つ妻と娘達当事者支援者達と共に日々病状と向き合いながら、北九州市等と協働して新型コロナ禍の中でも閉所せずサバイバルする日々を繰り返しながら現在に至る。

<著書>

「精神再生者」

講演内容

平成29年２月に、厚生労働省の「これからの精神保健医療福祉のあり方に関する検討会」にて、精神障害者が、地域の一員として、安心して自分らしい暮らしができるよう、医療、障害福祉・介護、社会参加、住まい、地域の助け合い、教育が包括的に確保された「精神障害者にも対応した地域包括ケアシステム」（以下地域包括）の構築が、新たな政策理念として示された。背景には、①近年、精神疾患を有する患者の数は増加傾向にあり、平成29年には約420万人となっており、傷病別の患者数をみると脳血管疾患や糖尿病を上回るなど、国民にとって身近な疾患となっている。②精神疾患による入院患者の在院期間が、１年以上が約17万人、うち5年以上が約9万人と長期化の問題。③精神障害者の多くが必要な地域サービスを十分に利用出来ず、約4割が1年以内に再入院している。④1年半以上の長期入院患者のうち、14％は退院可能。また退院困難とされた者のうち、１／３は、居住・支援がないため退院が困難とされている。⑤精神療養病棟に入院する患者の約１／２が、在宅サービスの支援体制が整えば退院可能等があげられる。単に地域包括は、長期入院患者の地域移行を進めるという限られた目的を達成するものではなく、どのような精神障害を抱えていても、地域でひとりの生活者として安心して暮らせるために、様々な機関が連携して必要な支援体制を構築するシステムである。

今回、地域包括のポイントである「自助」「互助」「共助」「公助」の側面から、訪問看護ステーションがどのような役割を担い、地域包括を展開してきたのか。それらを紹介しながら、当事者であって、NPO法人の理事長として地域活動センターを運営し、北九州市から委託されたピアカウンセリング事業などを展開して、長らく北九州市のピアサポーターとして取り組んできた米島健二氏にも実践報告をしてもらう。共に北九州市の小さなエリアだが、同じ思いで実践している地域包括に触れながら、精神科領域の作業療法士として取り組む必要な事を、この場で提示していきたい。

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